こんにちは、ねこきん(@nekokin37)です!
受験生が鑑定理論を勉強していく中で立ちはだかる壁の一つ地域分析。
- 総論6章:地域分析が抽象的すぎてよくわからない
- 総論7章の収益還元法:数学チックで苦手
- 各論1章:長い
- 各論3章:意味不
総論6章は鑑定理論の最初の挫折ポイントです。
挫折してしまう原因は、大きく3つだと思っています。
- 地域分析の基準の内容が抽象的で具体的にイメージしづらい
- 基準に”市場分析”という用語が出てこないのに試験問題では当然のように出てくる。しかも市場分析って地域分析にも個別分析にも出てくるし、いつ使うのか、そもそもなんなのか良くわからない。
- 総論6章は他の章と関連が深い。つまり体系的・横断的に理解する必要がある。
今回は、2番目の市場分析について記事を書いています!
市場分析とは”市場の特性”を分析すること。市場の特性は3つを指していると理解することがポイント
まずは市場分析の定義から。
地域分析の定義の中に、
『対象不動産に係る市場はどのような特性を有するか』
という文言があります。
これは「市場の特性を把握せよ」ということを意味しています。
なお、ここで言う”市場”は同一需給圏のことです。
市場の特性は、3つを指しているというのがポイントです。
- 市場参加者の属性
- 市場参加者の行動基準
- 市場の需給動向
この3つを分析して市場の特性を探るのが市場分析です。
では、この3つを具体的に見ていきましょう!
➊市場参加者の属性
市場の特性の1番目は、『市場参加者の属性』です。
市場参加者とは、不動産の供給者と需要者のコトです。
簡単に言うと、不動産の売主と買主のコト。
市場参加者の”属性”ってカッコよさげに表現していますが、
属性って、要は市場参加者は”どういう人か?”ということです。
例えば、
新築3,000万円位の建売住宅なら、
・買って住みたい個人が需要者。
・供給者は建売業者
築10年100億円の貸オフィスなら、
・それを買っていろんな企業に貸して賃料収入を得たい投資家が需要者。
・供給者は同じくオフィスを賃貸して収益を得るのもありだけど、そろそろ色んな修繕リスクも出てくるから、売却して利益を確定したいと考える投資家が供給者。
いろんなパターンが想定できますね。
市場分析では、まず、誰が市場参加者か考えます。
特に重要なのは需要者(買い手)の方です。
❷市場参加者の行動基準
市場分析2番目は、『市場参加者の行動基準』です。
行動基準は➊市場参加者の属性が決まったら、概ねセットで決まります。
実務では、需要者側の重視する要因(行動基準)を分析することがメインになります。
・新築3,000万円の建売住宅を需要する個人は、“居住快適性”や“生活利便性”を志向します。
需要者である個人は、これらを基準として地域要因についてアリ・ナシを判定していきます。
近くに食品スーパーある ⇒ 便利。アリ。加点+10。
幹線道路に面している ⇒ うるさそう。排気ガスとか振動も不安。ナシ。減点△5。
・100億円の貸オフィスを需要する投資家は、“収益性”を志向します。
近くに食品スーパーある ⇒ 便利。だけど、近くに食品スーパーあってもオフィス賃料は伸びないよね(収益性はアップしない)。スーパーの有無は特段気にしないからプラマイ0。
幹線道路に面している ⇒ 営業車やタクシーのアクセス性◎。視認性も良いから企業ブランドup。高めの賃料設定でもテナント入る(収益性up)。アリ。加点+10。
こんな感じで、市場参加者が誰か(属性)が決まれば、
その誰か次第で重視する要因も決まります。
言われてみれば当たり前のことなんですが、堅い言葉でいわれるとスッと頭に入りにくいですよね。
❸市場の需給動向
市場分析最後の3番目は、『市場の需給動向』です。
一番イメージしにくいかもですが、言葉の通り、市場の需要と供給は”どうなっているか”、”どうなっていくか”を分析することです。
モノの価値は需要と供給の均衡で決まるので、需給バランスについてチェックする必要があります。経済学ですね!
需要以上に供給が多すぎたら(超過供給)、不動産の価格も下がっていくし、需要が旺盛で供給が追っついてなかったら価格は上がります。
収益還元法然り、鑑定評価は将来予測が重要です。
需要と供給のバランスが将来どうなっていくか、チェックしておく必要があります。
将来どうなっていくかをチェックするためには、現在と過去も調べておくことがポイントです。
過去、こういう経緯があって現在の状況に至っている。その傾向は今後も続く見込みから、将来はこうなると予測する。
これが”動向”を分析する考え方の基本です。
実際に鑑定評価書を書く時になったら、過去・現在・将来を意識して分析すると説得力ある文章が書けるようになるのでオススメです。
市場分析その❸は、市場の需給動向を分析することで、それは市場の需要と供給は”どうなっているか”、”どうなっていくか”をチェックするということでした!
市場分析はいつやるの?
市場分析がよくわからなくなる理由として、「どのタイミングで市場分析をやるのかわからない」というのが一因となっていると思います。
価格形成要因の分析の手順は、
一般的要因の分析 ⇒ 地域分析 ⇒ 個別分析
こんな感じでマクロからミクロに落とし込んでいくので、イメージ湧きやすいですね。
では市場分析はこの流れのドコに入ってくるのか?
答えは、地域分析・個別分析と”同時並行で行ったり来たり”です。
一例を書いてみます。
地図を眺めて対象不動産とその周辺がどんな用途の不動産が多いざっくり把握します。
戸建て住宅の建ち並んでるな~(地域分析:地域の特性の把握)
ということは、このエリアの市場参加者は個人のサラリーマンが中心だな(市場分析:市場参加者の属性)
個人エンドユーザーなら、自宅用としての購入を前提とするから居住の快適性や生活の利便性を重視して物件探しをするよね(市場分析:市場参加者の行動基準)
対象不動産の存する地域(近隣地域)は近くにスーパーもコンビニもあるし、それなりに便利そう(地域分析:地域の特性の把握)
近くに畑とか駐車場・資材置き場みたいな低利用地も少なそう(地域分析:地域の特性の把握)
ここはベッドタウンとして開発されて知名度それなりの比較的人気のエリア。低利用地少ないから、今後の住宅供給少ないだろうし、需給バランスも安定推移しそうだから値下がりもなさそうかな(市場分析:市場の需給動向)
………
こんな感じの作業を繰り返していくのが地域分析と市場分析です。
この記事のおさらい
市場分析の内容について見てみました。
”市場”・”分析”となんともフワっとした単語2つが並んで出来た単語で、イメージしにくいですね。
市場は同一需給圏です。
”市場(の特性)”を”分析”することが、市場分析です。
市場分析の内容は3つで構成されていて、具体的にはこういうこと!っとイメージできれば、なんとなく理解出来ると思います。
➊市場参加者の属性 ⇒ 誰が不動産の買い手か売り手か
❷市場参加者の行動基準 ⇒ 不動産の買い手は何を重視して判断するか
❸市場の需給動向 ⇒ 不動産の需要と供給は”どうなっているか”、”どうなっていくか”をチェックすること