こんにちは、ねこきん(@nekokin37)です!
今回は不動産鑑定士の主要な仕事の一つになってる地価公示について書いてみました。
ちなみに主な公的評価には以下のモノがあります。
不動産鑑定士が独立しやすい士業である理由に公的評価があることがあげられます。
要件を満たせば国からお仕事がもらえるからです。
そんな地価公示については、あまり情報が出てこないので参考にしてみてください。
地価公示は一度評価員になれば毎年安定的に受注できるので安定収入になります。
(売上は平均約130万円)
地価公示単体で見た時の時給単価は非常にお安いですが、受任するメリットもたくさんあります。
1. 地価公示をざっくりご紹介
難しい定義の説明は国交省とWikipediaさんにお任せします。
ざっくりいうと、地価公示とはエリアの代表的な土地を選んで、不動産取引の指標になるよう土地価格の目安を毎年公表しているものです。
相続税路線価は地価公示の80%程度、
固定資産税は地価公示の70%程度と言われています。
公的価格水準の基準となっている親玉が地価公示です。
価格は毎年1月1日ですが、発表されるのは3月下旬になります。
この毎年の土地価格を不動産鑑定士が査定しています。
実務では”公示(コウジ)”と略してよんでます。
今一番地価が高いところは銀座の山野楽器銀座本店です。
一坪ざっと2億円!!
う~んピントこないですね。
数十センチ、数センチ隣接地から越境されてるだけで100万円単位で損失するイメージですね。
うん、ヤバい気がする。
2. 地価公示ポイントの探し方
説明に入る前に各ポイントについて便利なサイトを2つご紹介します。
■地価グーグルマップ版
グーグルマップに各ポイントを落としたものです。
ブラウザの読み込みも早くストレスないです。
さぁ自宅近くの公示地探しの旅に出かけましょう!
■標準地・基準地検索システム
もう一つは国交省のページです。
地価グーグルマップ版で気になった地価公示地があれば、その詳細をこのサイトで見れます。
要は鑑定評価書が見れます(地価調査は見れません)。
3. 地価公示の報酬は1ポイント60,000円くらい
気になる地価公示業務の報酬は1ポイント63,000円くらい。
※地価公示は1地点について2名の鑑定士で評価します(2社鑑定といい、ペアの鑑定士を”相鑑(アイカン)”と呼びます)。
2者鑑定は特段協力するわけではありません。
客観性をより高めるため2人の鑑定士に依頼するかたちとなっているだけ。
セカンドオピニオンに近いですね。
ポイントのメインがA鑑、そのペアがB鑑と呼び、報酬はA鑑が63,000円、B鑑が59,000円になります。
一人当たりの平均割当地点数は21ポイントです。
都道府県ごとに鑑定士の多い少ない、そもそものポイント数の多い少ないがありますから、割当ポイント数は上下します。
調べてみたら、一番少ない東京で15ポイント・一番多い北海道は37ポイントでした。
とりあえず地価公示の評価員を担当していたら、年間130万円位は売上が見込めそうですね。
4. 地価公示の評価員の要件:3年間3件の評価実績が必要
地価公示の評価員の要件は主に以下の3つ。
- 不動産鑑定士の登録
- 直近3年間で、毎年3件は鑑定評価書を書いていること
- 70歳未満
過去に不当鑑定がなかったとかコンプラ的な項目も色々ありますが、主なものはこんな感じ。
“3年で3件”というところが、不動産鑑定士登録してから3年後が独立の目安と言われる所以ですね。
昔は毎年5件だったみたいですが、地価公示の評価員が足りなくなってきたこともあって、参入要件が緩くなってます。最近は新人でも入りやすいようです。
地価公示は一度評価員になれると、ヘマしないかぎり要件さえ満たせば継続的に受注できます。
5. 地価公示の業務➊ 分科会
地価公示は”分科会”といって、都道府県をいくつかのチームに分けて作業を進めていきます。
分科会で定期的な会議を5~6回開催して、地価動向について情報交換、資料の作成をします。
業務は8月頃から始って納品は1月中旬です。
経済指標やこんな価格の事例が出た、業者さんのヒアリングとかの情報を定例会議で交換をしつつ、1月1日の価格を決めていきます。
ちなみに銀座の一等地であろうと、その辺の住宅地であろうと報酬は同じです。
評価書は専用のソフトで書くので、一般に出回っている鑑定評価書より負担は少なく、簡素な感じです。
6. 地価公示の業務❷ 取引事例の作成(新スキーム)
“取引事例の作成”、要は取引事例比較法で使う事例の作成作業も担当することになります。
実務では”新スキーム”と呼んでいます。
昔は不動産業者に取引についてヒアリングしていたようですが、今は国交省から送られてくるアンケートの情報を整理して取引事例を作成しています。
(昔は取引事例の作成がめちゃくちゃ大変だったようです。鑑定士の訪問お断り!なんて貼り紙の出てる不動産業者さんもあったとか…)
1件の報酬1,000円に満たない金額で役所調査や物件調査をします。
年間で100~200件位割当があります。
新スキームは完全に赤字業務です…
地価公示の作業は分科会や新スキームでかなり時間が取られます。
売上は上がるけど、時給換算するとあまりよろしくないのが実情です。
大手鑑定事務所は費用対効果が合わないから地価公示をやってなかったりします。
7. 地価公示をやるメリット
安定した売上にはなるけど、時給換算が安いというお話でした。
それでも私も独立するなら地価公示やると思います。
不随するメリットが大きいからです。
- 分科会で情報交換するので面白い情報や最新のネタが聞ける
- 国交省から最新のマクロ要因についてまとめた情報が還元される
- 鑑定士の横のつながりができる
- 登録の都道府県だけだが、取引事例の取得が半額になる(事例の取得って通常3,300円も取られるんです)
このほかに、
- 相続税標準地評価・精通者意見の評価員になりやすい
- 固定資産税標準宅地評価・時点修正業務の評価員になりやすい
- 自治体から仕事を受けやすい
といった他の仕事にも繋がります。
地価公示評価員というポジションは公的機関に対する信用力の証になる点が大きいです。
8. この記事のおさらい
- 地価公示は価格の取引価格の指標。
- 地価公示地を調べるオススメサイトは2つ。
- 地価公示の売上は130万円位。でも時給換算すると微妙。
- 地価公示評価員になると付随するメリットがたくさんある。
鑑定士の仕事について、公的評価も含めて網羅的に記載されている本を紹介しておきます!