こんにちは、ねこきん(@nekokin37)です!
鑑定評価では想定建物として建物図面を引いたりする場面があります。
実際図面を引いてみるとわかるのですが、寸法や面積、割合について標準的な感覚がないと図面を描く筆が一向に進みません。
ようやっと描いた図面の想定建物もこれでいいのかと、その妥当性には中々自信を持てません。
建築計画として妥当なプランなのか不安がつきないのは結構なストレスです。
そういった悩みを少しでも和らげるのに役立つのは建築計画の基本を身に着けることです。
今回は建築計画の入門書で辞書的な使い方としても優良な本のご紹介です。
自分描いた建築プランに自信を持てるようになりたい。
建築士試験の建築計画のサブテキストが欲しい。
『ゼロからはじめる[建築計画]入門』の1分紹介
どこかのラノベみたいなタイトルですね。
この本はシリーズものでいろんな分野のものが出ていますが、『建築計画』が特におススメです。
建築士試験のサブテキスト的な立ち位置で書かれたものですが、非常に平易な表現で書かれており頭にスッと入ってきます。
1ページ3分以内で読めるように、またマンガを取り入れて図示することでイメージとしても沸きやすいように工夫されているそうです。
建築士が設計するときに押さえておきたい『標準的な指標』も載っています。
『標準的』が大好物の鑑定士としては、いろんな用途の標準的な指標が知れて便利です。
一例をあげると、以下のようなものがあります。
モノサシがあれば、想定建物や収益性の分析に役立つので身に着けておきたい知識ですね!
簡易の速算
標準的な率が頭に入っていれば、簡易的に速算で価格が出せます。
- 前提:土地200㎡、容積率400%、オフィス想定
- 建物:200㎡×400%=容積対象床800㎡
- 延床面積:容積対象床800㎡×110%=880㎡
- 有効面積:880㎡×レンタブル比75%=賃貸面積660㎡
- 相場共益込賃料:15,000円/坪
- 賃料収入:660㎡×0.3025×15,000円/坪×12ヶ月=35,937,000円
- 空室率:5%
- 運営収益:35,937,000×(1-5%)≒34,140,000円
- 経費率:25%
- 運営純収益(NOI)34,140,150×(1-25%)≒25,605,000円
- CR:5%
- 収益価格:25,605,000円÷5%≒512,000,000円
- 建物単価:1,000,000円/坪
- 建物再調達原価:880㎡×0.3025×1,000,000円/坪=266,200,000円
- 付帯費用:20%
- 土地価格:512,000,000円÷(1+付帯費用20%)-建物価格266,200,000円≒160,000,000円
- 土地単価:160,000,000円÷200㎡=800,000円/㎡(一種単価661千円/坪)
- 土地割合:160,000,000円÷512,000,000円≒31%
店舗とかホテルのレンタブル比が分かれば、おおよそ売上が推測できるので負担可能賃料もざっくり査定できて、そこから土地価格を求められます。
慣れたら、上の計算もお客さんの目の前でパチパチ電卓叩いてざっくり数字出しができます!
目の前さっと数字を出せると信頼も得られます。
是非、標準的な率を身体に馴染ませておきましょう!
今後のアウトプット
本書の情報は想定建物やお客様から出てきた建物プランの妥当性を検証するのに役立ちます。
上記のレンタブル比はほんの一例です。
自動車の一台当たりの寸法は?
車路を含むと駐車場1台当たりの必要面積は?
自転車の場合は?
ホテルについて建築計画で標準的とされているシングルルームの大きさは何㎡?ツインルームの大きさは何㎡?
マンションの収納スペースは全体に対して何割ぐらいあれば良い感じ?
レストランやカフェの客席:厨房は何対何?
気になる数値が結構あったんじゃないかと思います。
辞書的な書籍としてオススメですので是非手に取ってみてくださいね。