こんにちは、ねこきん(@nekokin37)です!
受験生が鑑定理論を勉強していく中で立ちはだかる壁は、個人的には以下の4つだと思っています。
- 総論6章:地域分析が抽象的すぎてよくわからない
- 総論7章の収益還元法:数学チックで苦手
- 各論1章:長い
- 各論3章:意味不
今回は1番の地域分析について取り上げています。
総論1~4章まで暗記を進めてきて、総論5章に入ったらいきなり暗記量が増えてツラ…
やっと乗り越えて総論6章に入ったと思ったら、また暗記すること多い…
おまけに総論6章って何言うてるかよくわからない…
こんな感じで、総論6章は鑑定理論の最初の挫折ポイントだと思います。
挫折してしまう原因は大きく3つだと思っています。
- 地域分析の基準の内容が抽象的で具体的にイメージしづらい
- 基準に”市場分析”という用語が出てこないのに試験問題では当然のように出てくる。しかも市場分析って地域分析にも個別分析にも出てくるし、いつ使うのか、そもそもなんなのか良くわからない。
- 総論6章は他の章と関連が深い。つまり、6章の理解不足が他の章へも影響してしまう。
この辛さを乗り越えて総論6章を得意分野にしていきましょう!
まずは、
- 基準の内容が抽象的で具体的にイメージしづらい
から解決していきましょう!
地域分析の定義は4つから構成される
地域分析がよくわからなくなる理由は、地域分析の定義をなんとなく暗記してしまうことにあります。
まずは地域分析の定義を丁寧に読み解いていきましょう!
地域分析の定義は4つから構成されます。
地域分析とは、
➊その対象不動産がどのような地域に存するか
❷その地域はどのような特性を有するか
❸また、対象不動産に係る市場はどのような特性を有するか
❹および、それらの特性はその地域内の不動産の利用形態と価格形成について全般的にどのような影響力を持っているか
を分析し、判定することをいう。
言っていることが分かるような、分からないような感じ笑
実際に鑑定評価するとなったら何をすればいいのか、いまいちピンと来ないですね。
具体的にどんなことを言っているのか確認していきます。
➊その対象不動産がどのような地域に存するか
⇒近隣地域を判定することです。
❷その地域はどのような特性を有するか
⇒近隣地域の標準的使用を判定することです。
❸また、対象不動産に係る市場はどのような特性を有するか
⇒市場分析(地域分析における)をすることです。
❹および、それらの特性はその地域内の不動産の利用形態と価格形成について全般的にどのような影響力を持っているか
⇒➊~❸の結果を使って利用形態(どんな用途として使うか)と価格形成への影響を判定することです。
以下で各要素を深堀していきます。
➊その対象不動産がどのような地域に存するか=近隣地域の判定
『その対象不動産がどのような地域に存するか』
ここは難しくないですね。
読んだまま対象不動産の存する用途的地域、つまり近隣地域を判定することです。
ちなみに初学者あるあるのミスは、用途地域と用途的地域がごっちゃになっていることです。
用途地域は、都市計画法で定められる地域。
用途”的”地域は、鑑定評価を行うために鑑定士の判断で判定する地域です。
用途的地域は鑑定用語です。
❷その地域はどのような特性を有するか=標準的使用の判定
『その地域はどのような特性を有するか』
『地域の特性=標準的使用』です。
なので、定義2番目は、「標準的使用を判定すること」を言ってます。
少し話が飛躍しているので、行間を詰めていきましょう。
不動産はたくさんの不動産が集まって、地域を構成します。
(不動産の地域性)
地域には各地域ごとに特性があります。
(地域の特性。駅前には商業施設やオフィスビルが集まりますし、郊外の戸建住宅が集まっているところは戸建住宅が集まってますね)
各地域ごとの特性を踏まえて、相対的に地域の価格水準(地域のレベル・格)が決まっていくので、地域の特性を把握する必要があります。
例えば、こんな地域要因があると↓
- 第一種低層住宅専用地域
- すでに戸建住宅の建ち並びがある
- ファミリーに人気の学校区
- 子供達が遊びやすい公園、散歩に向いてる緑も多い
- 徒歩圏には大型食品スーパーやドラッグストアがある
- 駐車場もチラホラある
この地域をざっくり一言でまとめると、
「戸建住宅を中心に、駐車場等も見受けられる住宅地域」
と言えそうです。
このカギカッコの中が”地域の特性”です。
この”地域の特性”は、「戸建住宅としての利用方法が標準的な地域」と言い換えられそうですね。
では、この地域の中の不動産の一般的な利用方法、つまり標準的使用はなにか。
「戸建住宅地としての利用」が標準的使用と言えそうですね。
これで『地域の特性の把握=標準的使用の判定』とつながります。
❸また、対象不動産に係る市場はどのような特性を有するか=市場分析
『対象不動産に係る市場はどのような特性を有するか』
市場の特性は、3つから構成されます。
- 市場参加者の属性
- 市場参加者の行動基準
- 市場の需給動向
この3つを分析して市場の特性を探るのが市場分析です。
つまり、地域分析の定義❸は市場分析です。
“市場分析”は基準にダイレクトに出てこず、定義も明確に記載されていないため、理解に苦しんでいる人が多くいてると思います。
市場分析についてはこちらに記事を書いてます!
❹および、それらの特性はその地域内の不動産の利用形態と価格形成について全般的にどのような影響力を持っているか=➊~❸がどう影響するのか
『それらの特性はその地域内の不動産の利用形態と価格形成について全般的にどのような影響力を持っているか』
➊~❸のまとめ的な文章です。
➊近隣地域の判定
❷地域の特性(標準的使用)の把握
❸市場の特性の把握(市場分析)
“それらの特性は”とあるように、“地域の特性”と”市場の特性”が主語です。
利用形態とは、不動産の用途(不動産の種別)のことです。
「地域の特性と市場の特性が、不動産の用途と価格形成にどう影響するのかを分析しましょう」が4番目の言いたいことです。
先の例で言うと、
地域の特性=標準的使用「戸建住宅地としての利用」でした。
そいて、この地域には駐車場もチラホラあるみたいです。
駐車場は、今後、戸建住宅地として分譲される可能性が高そうです(利用形態への影響)。
既存の戸建住宅も、古くなってきたら戸建住宅としてもう一度建て替えられるそうです(利用形態への影響)。
また、戸建住宅地域なので、戸建住宅としての価格水準が形成されているハズです(価格形成への影響)。
こんな感じで、➊~❸で分析したことを具体的に落とし込んでいくイメージです。
この記事のおさらい
地域分析の定義をじっくり見ていきました。
基準の定義自体は何故か覚えてしまえるのですが、ここの意味が中々ピンとこないと思います。
ピンとこないまま進んでいくと、結局、地域分析って何をするんだっけ?となってしまいます。
定義を丁寧に理解しておくと後が楽になります。
定義は4つから構成されます。
その4つの意味は以下の通り!
➊その対象不動産がどのような地域に存するか ⇒ 近隣地域の判定
❷その地域はどのような特性を有するか ⇒ 標準的使用の判定
❸対象不動産に係る市場はどのような特性を有するか ⇒ 市場分析
❹それらの特性はその地域内の不動産の利用形態と価格形成について全般的にどのような影響力を持っているか ⇒ ➊~❸がどう影響するのか
こんな感じでシンプルに抑えておけば、勉強を進めやすいと思います。