こんにちは、ねこきん(@nekokin37)です!
各論3章の攻略第2弾。証券化評価の中盤戦です。
ポイントは3つ!
- 項目建てを覚えて、全体像を把握すること。
- 各論3章は鑑定評価の手続きの章と認識すること。
- 各項目建ての背景を理解すること。
この3つを意識するだけで、理解や暗記が幾分かマシになると思います!
各論3章の全体像のおさらい
全体の把握のおさらい。
各論3章は6つの項目で構成されています。
- 証券化対象不動産の定義
- 鑑定士の責務
- 未竣工建物等の評価
- 処理計画
- ”個別的要因”の調査
- DCF法
❸未竣工建物等の評価から行きましょう!
❸証券化対象不動産について未竣工建物等鑑定評価を行う場合の要件
ざっくり一言で言うと…
いつもの条件設定の3要件+証券化用の要件1です。
実現性・合法性・利害関係者の利益を害する恐れがないかの3要件。
これに加えて、リスク(損害)回避の担保ができていること、が求められています。
証券化評価では現況所与で評価することが原則です。想定上の条件や調査範囲等条件とかで価格形成要因をいじくったりするのは許されません。
例外として、未竣工建物等評価の条件設定だけ許されてます。この時だけ現況所与じゃないです。
未竣工建物等鑑定評価の場合、文字通り、建物が完成していないため既存建物がある場合に比べてリスクが大きいです。いわゆる開発リスクですね。
- 本当に建物が建つのか?
- 予定通りのスケジュールで建物が建つのか?
- 図面通りの建物は建つのか?
心配ごとはたくさんです。
証券化評価は『投資家に予期せぬ損害を生じる恐れがないか』の観点が重要です。
安易に未竣工の状態で鑑定評価をして『投資家に予期せぬ損害を生じさせないよう』に条件設定を厳格にしています。ここが、この項目建てが必要となった背景です。
❺証券化対象不動産の個別的要因の調査等
処理計画はとばして、個別的要因の調査に行きます。
ここは、さらに3部構成。
- 個別的要因の調査
- 実地調査
- ER
個別的要因の調査
証券化評価は『投資家に予期せぬ損害を生じる恐れがないか』の観点(本日2回目)からリスクを徹底的に洗い出す必要があります。
個別的要因の調査なんて普通の鑑定評価でも当たり前にやるんですが、各論3章では改めてしっかりやれよ!と注意喚起です。ここが、この項目建てが必要となった背景です。
基準では、とりあえず5項目を列挙してます。
- 権利関係
- 公法上の規制
- アスベスト等の有害物質
- 耐震性
- 増改築等の履歴
他の要因ももちろん重要ですが、受験対策上はとりあえずこの5つを無難に拾っておきましょう。
実地調査
実地調査に関することを鑑定評価報告書に書いてね。
ここも証券化評価に関わらず、普通の鑑定評価でも書きます。
各論3章では改めてしっかりやれよ!と注意喚起されてます。しつこいよね。この項目建てが必要となった背景です。
ここも5項目。5項目が2回続きます!
- 実地調査した年月日
- 誰が実地調査したか
- 立ち会ってくれた人、その不動産を管理している人の名前と職業(職業:会社名と部署と役職の3点セットと思ってください)
- 実地調査で見た範囲、立会人・管理人にヒアリングした内容
- 実地調査を一部できなかった場合の理由
少しだけ補足します。
❹立会人・管理人にヒアリングした内容:登記に表れていない権利とかあるかもしれないので、そんな権利あったりします?って聞いたり、地下に従前建物の杭(埋設物)が埋まってたりします?、築年古い物件ですけど、PCB含有物を保管してたりします?~なんてことを現地で確認します。
なお、各論3章では、一度評価したことある物件について個別的要因に大きな変化なかったら内覧を省略しても良いよ~と定めています。
このケースに該当する内覧の省略は実務でも良くあります。
証券化評価では基本的に、同一物件を半年に毎に評価します。1年に2回です。
内覧アリ実査は1年に1回。もう一回は鑑定士が勝手に見といてねって感じです。
大きな変動もないのに依頼者や管理人に毎回立会をお願いしていると業務負担が大きいということを配慮したものとなっています。
論文テクニックとしては、”対象不動産の確認”の論点で各論3章の『個別的要因の調査等』や『実地調査』が追加で書けるとカックイイですね!
加点事由になると思います。
ERの取り扱いと不動産鑑定士が行う調査
ER(エンジニアリング・レポート)は、建築・設備等についての専門家が調査したレポートです。
ERの調査項目は大きく4つに区分されます。その主な記載項目はこんな感じ。
- 建物状況調査:①遵法性、②維持管理状況、③再調達価格、④修繕更新費用(修繕費・資本的支出の参考)
- 建物環境調査:①アスベスト、②PCB
- 土壌リスク評価:土壌汚染
- 地震リスク評価:PML
ERは、要因資料のうち”個別資料”に該当します。
不動産鑑定士は不動産評価の専門家です。が、残念ながら建築物・設備の専門家ではないです。
建物の詳細な情報があればあるほど、不動産評価の精度が上がります(評価額がブレるリスクが減ります)。
『投資家に予期せぬ損害を生じる恐れがないか』の観点(3回目!)から、リスクを減らす必要があるため、建物の詳細なレポートを使って、鑑定評価の精度を上げます。ERの必要性が、この項目建てが必要となった背景です。
ただし、ERは鑑定評価のためのレポートではないため、内容に不足とかがあったら鑑定士がちゃんと対応してねってことが基準に書かれています。
証券化評価においてERの活用はマストです。絶対入手です。
一方で、基準ではERを入手しなくて良い場合も定めてます。
次の3パターン。
- 取壊し予定の場合:更地化するから。ただしこの場合でも土壌汚染や吹付アスベストに関するレポートは要る。
- 再評価の場合:過去に入手したERを活用できるから。実務ではERは5年に1回位を目安に取り直します。ERは100万円以上するから毎評価で取ってたら大変!
- 戸建住宅:鑑定士が建物に詳しくないといっても戸建住宅くらいはやってくれ…という国交省の意図やと思う。
そもそも戸建住宅が証券化されることがあるのかしら。。。
論文テクニックとしては、個別的要因に関する問題などで、
『専門性の高い個別的要因(土壌汚染やアスベスト等)については、ER等を活用し鑑定評価の各手法へ適切反映するよう留意すべきである。』
なんて一言が添えられたらカックイイかもです!
この記事のまとめ
今回はいったんここまで。
- 証券化評価は現況所与が原則で、未竣工建物等鑑定評価は例外処理。例外対応のため、要件を厳格化している。
- 個別的要因の調査等は3部構成
- 個別的要因・実地調査を改めてちゃんとしようと注意喚起!
- ERの入手はマスト!
ERはイメージしづらいと思うので、実務上の取り扱いを中心に書きました。